スピッツ「魔法のコトバ」は明曲か?
スピッツ待望の(この、待望の、という形容詞、陳腐だよな)新曲、「魔法のコトバ」が7月13日に発売される。人気漫画の実写化映画「ハチミツとクローバー」の主題歌。まあ、売れるだろうね。
結構、プロモVが流れ始めているし、某有名動画サイトにもアップされているので、全曲聴くことができた。草野本人曰く「おちゃめな曲」。ネットで散見する感想も「スピッツらしい可愛らしい曲」なんていうのが大勢。まあ、ハチクロの絵と、このジャケット、ミディアムテンポで、メジャーコードを中心にした穏やかで明るい曲調、と、ここまでやるか、と思うくらい「可愛らしさ」を“偽装”しているね。
そう、この曲の持つ「闇」は果てしなく深い。そして、その意味において、これほどスピッツらしい曲はない。「正夢」「春の歌」「テクテク」と、この曲。ここのところのシングルはずっと同じテーマを歌っている。もう二度と会えない「君」への想いを抱えながら、「振り返りながらも」前を向いて生きていく。その切なさ、人生の重さ、しんどさ、癒されることのない悲しみ、無常観、諦観・・・ そういったものを軽やかに表現する「魔法のコトバ」。また一つ、名曲が生まれた。
「空も飛べるはず」を前向きな希望を歌った曲ととらえる人は多い。でも、よく見てほしい。この曲は「空を飛べるだろう」「空を飛ぼう」ではなく、飛べる「はず」と歌っているのだ。この「はず」があることによって「空なんて飛べるわけないんだ」という本音が見えてくる。この曲では「君と出会った奇跡」と歌っている。奇跡なんだ。つまり「ありえないこと」なんだ。そんな奇跡が起こったら、空を飛ぶことさえできるはずなんだ。「空も飛べるはず」は、現実逃避と妄想の悲しさにあふれた曲なのだ。そして、そんな曲はスピッツのヒット曲にはいっぱいある。「渚」しかり、「ロビンソン」しかり。
魔法のコトバさえあれば、約束しなくても、また会える・・・もう絶対会えないことを分かっていながら、そうつぶやきながら生きていく。本当に切ない曲だ。涙が出てくる。
蛇足だけど、この曲、インディーズ時代のカセットテープ「ハッピーデイ」に入っている「晴れの日はプカプカプー」にちょっと似ているね。










