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スピッツ・シュガーコーティングされた毒薬

魔法のコトバ

 スピッツの新曲「魔法のコトバ」。一度書いたが、発売されて手にして何度も聴いてみて確信した。とんでもない曲だよ、これ。もちろんいい意味で。

 ジャケ写を大きく載せてみたので、よく見てほしい。とても可愛らしいイラストだけども、ハチの子どもが左手に握っている四つ葉のクローバー。トゲがある。しかもそれを握っている左手からは血が滲み出ている。子どもは、それでも楽しそうな表情でぼんやりとしている。

 歌詞。ブリッジの部分の、花は美しい、トゲも美しい、根っこも美しい、「はず」という唐突な描写について、ずっと考えていた。しばらくして気がついた。もしかして、これこそが「魔法のコトバ」なんじゃないかって。
 冷静に何度も歌詞を眺めてみて、何度も曲を耳にして、ようやく分かった。これ、「妄想男のストーカーソング」だよ。ストーカーといえば、「HOLIDAY」(『隼』所収)が露骨だが、これも相当危ない。「約束しなくても、また会える」という状況、よく考えてみてほしい。
 トゲに刺されるように傷つけられても、根っこのように汚い部分が見えても、この主人公にとって「君」は美しい「はず」、という、どこかネジがはずれてしまったような妄想。

 この曲が、実は「気持ち悪い曲」だからイヤだ、と言っているのではない。こんな妄想を抱いてしまう、ボロボロになって人を想い、それでも思い通りにならない現実、そんなせつなさは、これまで何度も味わってきた。そんな「すれた心」にこの曲は、ダイレクトに響いてくる。草野と同年代のオトコとして、理解しあえる感情が共鳴する。

 もっと若い世代の、とくに女性の方は、もちろん違う聴き方、感じ方をすると思う。それはそれでいいと思う。スピッツの「魔法」にかけられているのだから。シュガーコーティングされた毒薬。そのコーティングされた部分を十分に味わうのも、このバンドの楽しみ方の一つだし、否定しない。でもその中にある毒に触れてこそ、「人生の意味」が分かるのかもしれない。

 スピッツの歌詞のほとんどが「魔法のコトバ」なんだよ。本当はね。

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