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2006年07月22日

スピッツ・シュガーコーティングされた毒薬

魔法のコトバ

 スピッツの新曲「魔法のコトバ」。一度書いたが、発売されて手にして何度も聴いてみて確信した。とんでもない曲だよ、これ。もちろんいい意味で。

 ジャケ写を大きく載せてみたので、よく見てほしい。とても可愛らしいイラストだけども、ハチの子どもが左手に握っている四つ葉のクローバー。トゲがある。しかもそれを握っている左手からは血が滲み出ている。子どもは、それでも楽しそうな表情でぼんやりとしている。

 歌詞。ブリッジの部分の、花は美しい、トゲも美しい、根っこも美しい、「はず」という唐突な描写について、ずっと考えていた。しばらくして気がついた。もしかして、これこそが「魔法のコトバ」なんじゃないかって。
 冷静に何度も歌詞を眺めてみて、何度も曲を耳にして、ようやく分かった。これ、「妄想男のストーカーソング」だよ。ストーカーといえば、「HOLIDAY」(『隼』所収)が露骨だが、これも相当危ない。「約束しなくても、また会える」という状況、よく考えてみてほしい。
 トゲに刺されるように傷つけられても、根っこのように汚い部分が見えても、この主人公にとって「君」は美しい「はず」、という、どこかネジがはずれてしまったような妄想。

 この曲が、実は「気持ち悪い曲」だからイヤだ、と言っているのではない。こんな妄想を抱いてしまう、ボロボロになって人を想い、それでも思い通りにならない現実、そんなせつなさは、これまで何度も味わってきた。そんな「すれた心」にこの曲は、ダイレクトに響いてくる。草野と同年代のオトコとして、理解しあえる感情が共鳴する。

 もっと若い世代の、とくに女性の方は、もちろん違う聴き方、感じ方をすると思う。それはそれでいいと思う。スピッツの「魔法」にかけられているのだから。シュガーコーティングされた毒薬。そのコーティングされた部分を十分に味わうのも、このバンドの楽しみ方の一つだし、否定しない。でもその中にある毒に触れてこそ、「人生の意味」が分かるのかもしれない。

 スピッツの歌詞のほとんどが「魔法のコトバ」なんだよ。本当はね。

2006年07月06日

大江慎也と花田裕之

ORIGIN DUO~COUNTERATTACK 大江慎也&花田裕之ACOUSTIC LIVE(DVD付) 最近、疲れている。仕事が忙しいわけでもない。時々、人生や生活が分からなくなる。人から見れば、特殊な生活をしているせいだろうか。前が見えない。ダウナーな気分が続く。「人生って何だろう」〜同じことばだが、若い頃の焦燥感から来るものとは違う。別につらいわけではない。感情が平板になってきているような気もする。

 こんな時には、この人たちの音楽に寄り添ってもらうのがいちばんいい。静かに胸の中に入り込んできて、心をグラグラゆさぶってくれる。
 去年の5月28日(そういえば、会社を辞めさせられた直後だな)、花田裕之のソロライブにシークレットゲストとして登場した大江慎也。その2人のアコースティックギターだけによる演奏を収めたアルバム「ORIGIN DUO~COUNTERATTACK」。大江在籍時のルースターズの珠玉の名曲たちを聴かせてくれている。

 「Last Soul」「She Made Me Cry」「Hey Girl」「Case Of Insanity」「Sad Song」「I'm Swayin' In The Air」と続き、後半はR&Bナンバーのカバーや初期の名曲「Sitting On The Fence」、そしてロックン・ロールの祖の一人であるボ・ディドリーの「Mona」のカバーで終わる。大江ルースターズの最後のアルバム「φ」の最終曲から始まり、最後には自分たちのルーツにまで遡って終わる。恐らく、ここで大江は一度自分の来た道をたどっていき、総括した上で、「The Greatest Music」21世紀型ルースターズを作り上げたのだろう。

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2006年07月04日

スピッツ「魔法のコトバ」は明曲か?

魔法のコトバ スピッツ待望の(この、待望の、という形容詞、陳腐だよな)新曲、「魔法のコトバ」が7月13日に発売される。人気漫画の実写化映画「ハチミツとクローバー」の主題歌。まあ、売れるだろうね。

 結構、プロモVが流れ始めているし、某有名動画サイトにもアップされているので、全曲聴くことができた。草野本人曰く「おちゃめな曲」。ネットで散見する感想も「スピッツらしい可愛らしい曲」なんていうのが大勢。まあ、ハチクロの絵と、このジャケット、ミディアムテンポで、メジャーコードを中心にした穏やかで明るい曲調、と、ここまでやるか、と思うくらい「可愛らしさ」を“偽装”しているね。

 そう、この曲の持つ「闇」は果てしなく深い。そして、その意味において、これほどスピッツらしい曲はない。「正夢」「春の歌」「テクテク」と、この曲。ここのところのシングルはずっと同じテーマを歌っている。もう二度と会えない「君」への想いを抱えながら、「振り返りながらも」前を向いて生きていく。その切なさ、人生の重さ、しんどさ、癒されることのない悲しみ、無常観、諦観・・・ そういったものを軽やかに表現する「魔法のコトバ」。また一つ、名曲が生まれた。 

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